デルタ卿が愛馬のジョワイユと共に薬草を採りに森に出掛けた矢先のことです。

深紅の騎士、デルタ卿の噂を聞きつけた漆黒の閃光の二つ名を持つキタルファ卿は
パーシヴァル国に向かう途中で出会ったデルタ卿を呼び止め、
名を教えろと剣を突き付けました。





キタルファ卿のそのぞんざいな態度にデルタ卿は名を教えず、
自らも剣の先をキタルファ卿に突き付けました。

一種の緊張に似たものが走り、互いに目の前の騎士が強いのだと肌で感じ取りました。





どちらともなくデルタ卿とキタルファ卿は自分の愛馬の腹を蹴り、
愛馬達は前足を高々と振り上げます。

デルタ卿の深紅の剣とキタルファ卿の漆黒の剣が甲高い音を響かせながら相対し、
赤と黒の光が飛び交っていきます。





互いの攻撃によって馬から落とされても戦い続けます。

二人の鎧が傷だらけになっても、互いの身体を傷つけあっても勝敗は決まりません。
どちらも最高の強さを誇る騎士なのです。

決着の着かぬまま、二人が同時に膝を地面についたところで戦いは終わりました。






絵本『騎士デルタ』

三部作の第二話目。
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左開きになります。


更新日2007/12/31

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