騎士道に忠実なデルタ卿は嫌がるキタルファ卿をよそに彼の手当てをしますが、
キタルファ卿がデルタ卿の手当てをしようと申し出ると、
自分で手当てをすると言って断ります。

それがキタルファ卿には許せません。





夜の闇の中、野宿をすることになった二人は焚き火にあたります。

互いに名を名乗り、キタルファ卿はデルタ卿の名を聞いた途端に複雑な顔をしました。
しかし、兜を被り直した直後だったので、デルタ卿に悟られることはありませんでした。

ふいにデルタ卿はどうしてキタルファ卿は主を持っていないのかと問い掛けました。
重い沈黙の後にキタルファ卿は言います。





キタルファ卿は自分に騎士の称号を与えてくれた王を自分の手で殺してしまったのです。

王は優しく、民にも慈悲を与える心優しい持ち主であったにも関わらず、
魔女に言い含められて人が変わったように暴動を始めてしまいました。

キタルファ卿をはじめとした数多くの騎士は王を止めようとしましたが、
王は剣を手に取り、自分の騎士達を次々と斬りつけていき、
最後に残ったキタルファ卿は混沌を止める術が一つしかないことに気付きます。





デルタ卿は何も言えませんでした。
言えるはずがないのです。
優しい言葉を掛けても、キタルファ卿にとっては哀れみとしか思えないはずです。

次に問い掛けるのはキタルファ卿です。
どうしてデルタ卿がそんなにも王に忠誠を誓っているのかが不思議だったです。
デルタ卿の答えは簡単でした。
デルタ卿が仕える王はデルタ卿の実の父親なのです。

キタルファ卿は納得し、デルタ卿もそれ以上は何も語らず、
二人は自分の愛馬に背を預けて眠りにつきました。

デルタ卿とキタルファ卿はこの時、最高の好敵手【ライバル】となったのです。






絵本『騎士デルタ』

三部作の第二話目。
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更新日2007/12/31

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